福井・若狭路の三山三滝!  雲谷山 / 三十三間山 / 多田ヶ岳
福井の山 地図(五万図=西津・熊川)
T三方石観世音〜第三展望台 〜雲谷山〜雌滝〜石観世音 2002年05月05日
U倉見・仏行寺〜風神〜三十三間山〜無名滝!〜登山口   同 日
V野代・妙薬寺〜瀬波戸ノ滝〜多田ヶ岳〜野代・妙薬寺   同 日

雲谷山山頂:正面は屏風ヶ滝・新庄コース
関西百名山 No13 近畿百名山 No8  三十三間山
校歌の山:小浜・若狭高校 ♪朝雲映ゆる多田ヶ嶺に…♪多田ヶ岳

若狭路の国道27号を海岸沿いに走っていた。舞鶴市に入れば見える青葉山は県境の 青葉トンネルを抜け福井・高浜町に入っても山頂はガスの中、若狭湾は遠く・青葉山の南麓にかけてズッと白いカーテンの奥に姿を隠している。小浜市街を抜ける頃にはフロントに雨粒さえ…上中町を抜ける頃には本格的に降ってきた。 今日は野坂岳から敦賀湾を望み、さらに三国山〜赤坂山縦走へと滋賀県境に向うつもりだったが予定を変更。雨中・初めて山でも迷う事なく整備された山は…!!とロードマップに目をやると雲谷山〜矢筈山がある。 山麓に三方石観音の標識を見て此処から登れる事を思い出す。晴れていれば三方五湖を正面に俯瞰出来る位置にあり山頂からの距離も近いので、眺望に淡い期待を持って臨んだが結果は駄目。帰り際に三十三間山と時間が有れば 多田ヶ岳か綾部の君尾山を帰りの駄賃に考えておきます。


T三方石観世音〜第三展望台 〜雲谷山〜雌滝〜石観世音 H14.05.05

JR小浜線三方駅近く国道27号線沿いの石観音はバス停があり、すぐわかり駐車場に入ったが、外は音立てての雨となってしまい、暫らく此れからの予定やコースを検討します。新聞配達のおばさんからも登るなら本堂裏手からズッと良い道が続いているよ…との事 ・小降りになったので三方町・美浜町の町界尾根にある雲谷山へ「三方石観音」の看板を見て観音川沿いの参道を進む。
石観音入口

バス停(AM6:10)「三方青年の家」からは境内になり、参道を進み本堂横から奥の院までは林道も通じている。第二・第三展望台へ続く稜上迄登りつめる林道も、 奥の院側への分岐から延びています。ただ奥の院へは道路崩壊があるらしく進入禁止ロープで遮断されていました。歩いてなら奥の院や雄滝・ 雌滝の見物に行けそうです。三方石観世音は北陸二十二ヶ所特別(観光霊場として!!)7番札所で、本尊は弘法大師が花崗岩の表面に彫られた観世音菩薩。本尊のご開帳は33年に一度で、次のご開帳は2026年とのこと。
と一番鶏の石像

弘法大師が一夜で彫ろうとしたが完成する前に朝を告げる一番鶏が鳴いた為、右手首が未完成のまま 下山されたことから片手観音とも呼ばれ、手足の病に霊験あるとされ、境内の御手足堂には祈願者が木で作られた手や足(御手足型)を本堂で借受けて持ち帰り「南無大慈大悲石観世音菩薩」と唱えながら患部を軽くさすって病気平癒を祈願。 快癒した後に借受けた御手足型を返納する際には、更に新しい御手足型を一本添えて奉納する習慣になっていおり、そうやって奉納された木製の手型・足型が手足堂には山となって積まれており、こんな天気でしたが下山してきた AM9:00頃には既に多くの参拝者が訪れてた。
「北陸観光霊場・第七番 石観世音」の石碑が建ち参道を進むと、暗い行場の滝が見え正面参道の中央に露岩があって、その上に石の鶏が時を告げるように鳴いている姿で据えられ 前掛けまでされています。弘法大師・一夜彫りの観音像完成を阻止した!!伝説の張本人?・一番鶏の像です。石観音・本堂や納経所のある建物左手から裏手に出ると 地蔵尊が立ち並んでいる登山口(AM6:25)で緩やかなジグザグ道となり 第V展望台までは1.5m幅の自然歩道となり 整備されたコースでベンチや道標も完備されています。ただ惜しむら は第二展望台 (AM6:50)と第三展望台(Ca380m AM7:00)の間の稜線上にまで車道が通じ「XXX駐車場」と書かれた駐車スペースが用意されており、如何してこんなところまで…!!と思うほどです。
第三展望台この付近でカモシカと遭遇!

この奥の院分岐からの林道がなければコナラやアカマツにミズナラ・ブナも 点在する静かな自然林の中を展望台に至る素敵な散策道になっていたはずです。ブナ原生林の雲谷山へ行く人が 此処まで車で上がって来るとも考えられませんがコース説明不要ですね。天気さえ良ければ、三方五湖の美しい景観が臨まれるのに、 程なく着いた第一展望台からは一面に拡がる白い霧の中に展望は閉ざされています。第二展望台からは奥の院・雄滝へ向かうので雲谷山からの帰りは 此処からの下降コースを辿ります。鞍部には先述の林道に合流します。コンクリの遊歩道を避けて稜上に続く踏み跡を直上し、ログ展望休憩小屋の第三展望台に着く。
第三展望台から、なおも続く囁きの小路

緩やかな起伏で続く自然林に囲まれた遊歩道は霧で前方がもやっているので神秘的な雰囲気です。こんな状況なので安心しきっていた鹿が直ぐ近場から飛び出して逃げていきます。 鳥のさえずりも響きますが何の鳥かは!!?? 雉もよく見かける。甲高い声で知られる雉がドスの効いた??低音で走り去る声も初めて聞いた。
雲谷から此処・第三展望台付近まで帰りついたとき、 ほんの10数m先にいるカモシカと遭遇。しばらく顔つき合わせていたが、カモシカとは大峰山系の稲村ヶ岳をクロモジ尾から一人登っていて、親子のカモシカに遇って以来数10年振りです。しかもこんな低山の整備遊歩道!!一瞬・我が目を疑います。 写真が撮れたらよかったが、そのため屈んだり動いたりすれば逃げたでしょうか?。少々、前後左右に身体を動かしても相手は動じません。 こちらのほうが観察されていたのでしょうか。後日此処には日本カモシカの他ツキノワグマも生息していると聞いて一応納得しましたが…。1.5m幅の緩やかな遊歩道が 何処へ通じているのか少しあやしい下りにかかる頃、左手の尾根へ取り付く山道を分けます(AM7:10)。「雲谷山へ」の標示に誘われるように藪に覆われた道を進むと直ぐに藪も開け自然林にブナが目立ち始めます。山頂までは直ぐだろうと思っていた 展望台からの道は結構長い。
観音川・雌滝

愛でる花もなく展望さらに効かないブナの原生林の中の道…山頂も近くなった頃(といっても未だ2〜3の小ピークがある)少し稜線を捲き気味に窪地の中央を進む所があり、ユズリハの雑木林となった。これが石楠花だと素晴らしい場所だが …みどり一色の世界で展望はないが其れはそれで良い所。雲石山山頂(2等三角点787m AM7:55)は北面が切り開かれているようですが生憎の天気です。馴染のない山域なので展望が効いても矢筈山が同定出来れば上出来かも…。 その矢筈山へ縦走出来ればと思ったが方向も踏み跡も良くわからず諦める。三角点から先へは「屏風ヶ滝へ・新庄へ」美浜町山遊会の標識があるが「新庄」が何処かも知らず…!!この後、三十三間山の山頂にも「新庄へ」の標識をみて県境界 〜町境界を繋いで雲谷山 〜三十三間山の縦走も可能??と思う。

コース分からず縦走を諦め同じ道を引き上げます。 随分長く感じた 往時と異なり降りは早かった。藪っぽいが良く踏まれた山道を抜けて遊歩道(AM8:30)へ出てきてが第三展望台手前(AM8:45)では、 前述のごとくカモシカと遭遇です。鹿のように跳んで逃げる事もなく、それ程離れてもいないのに、此方の少々の動くには動ぜず実に堂々としています。 カメラに収められなかったのが至極残念です。かねての予定通り第二展望台からの分岐(AM8:50)を[雄滝へ]の標示に従って降り、奥の院への林道分岐へ降り立ち(AM9:00)程なく 休憩小屋があり護岸整備された谷の奥に滝が見えています。 此れが雌滝(AM9:05)で幾つかの段差で滝が連なっているようです。右岸上部に車道があるので、奥の院に向う林道ですので、此の先でさらに大きな雄滝が有るようです。ご開帳にでも再訪したい所ですがその頃、生きてるかなア。 此処で「石観音」へ引き上げます。一寸した谷の出会いにお堂があって「観音霊水」の取水場があったが谷の上方には真新しい??堰提。お水を戴くのは止して、 雨も上がっていないが参詣者の多い境内を抜けて石観音バス停に戻り着いた(AM9:25)。


U倉見・仏行寺〜風神〜三十三間山〜無名滝!〜登山口 H14.05.05

三方石観音へ降りて来たが天気は上がる気配も無く、予定していた野坂岳を諦めて帰途に予定の三十三間山(842m)に向います。嶺南地方(その野坂山地や若狭の山々)の丁度中程に位置する 滋賀県との県境にある三十三間山は緩やかな起伏の続く平凡な山稜だが、山頂付近の草原が魅力なのか、生憎の天気だが此の山だけは登山者も多い。 アプローチが短いうえに整備された道。
三十三間山登山口・駐車場

山頂へは約3km・2時間程、 頂上付近はススキと芝生の草原で三方五湖や若狭湾展望も楽しめるとあれば…当然ですね。それが楽しみの今日の山行でしたが雲谷山に続き此処でも同様、霧の草原散歩になってしまいました。小浜町・上中町方面からは観光牧場!!先の倉見峠を越え 集落手前の道路遮断機を越して直ぐ右折するところを逆走していた。27号線を戻りながら成願寺からの 道を外してしまい ・倉見バス停からは狭い集落内の道を仏行寺へ向います。仏行寺には桃山時代の絹本著色「蓮如上人像」掛軸があり三方町指定文化財(昭和59年5月1日)となっています。寺の裏手には27号線に合流する広域農道かバイパスが 新設されていて真新しい舗装車道が通じており大きな「三十三間山登山口」(AM9:45)看板と立派なトイレも完備した駐車場が出来ていました。
三十三間山

第一駐車場は大型バス 2台分のスペースも用意され第一・ 第二駐車場は各15台可能です。平安末期の京都・三十三間堂(成人の日1月15日の通し矢で有名)造営に際して 適当な棟木になる材がなくこの山に材を求めて切り出したことが山名の由来といわれます。駐車場奥の杉林に続く広い林道を15分程で分岐(AM10:00)・・直ぐ左手の谷から滝音が聞こえ数段からなる滝が懸っているので帰りに寄って見ることにします。 道標により右折してさらに15分で林道も終点の 「最後の水場」…丸太を渡した橋を渡ると此処からは 植林の中の急登りとなり 枯れて白い肌も無残な 「夫婦松」の小場に着く。西面が開けているので真っ青な若狭湾の展望が拡がっているはずなのに前面は真っ白。此処からは傾斜も緩やかなブナの林が続く。「中間点」(AM10:38)標示を見て「風神」も間近です。 分岐の10m程奥には築山に卵塔と磨耗した小さな石仏が祀ってあります。
三十三間山・登山口近くの!!??滝

風神は風の神様・風邪の神様!!??…疫病が流行したとき此処に塔を建てて供養したとのこと。「風神」は!!?…元の分岐に戻り僅かに登れば雑木もない明るい稜線となり熊笹とススキを掻い潜って芝生の草原となります。 四方に展望が楽しめる場所ですが太陽は微笑んでもくれず、ただ薄い霧が尾根を越えて流れているだけです。 草原散歩は山頂まで続きます。狭い山頂は僅かに切り開かれており三十三間山山頂(3等三角点842m AM11:10)標識からは、さらに北へ進む県境稜線の山道には雲谷山山頂でも見かけた「新庄へ」の道標があった。この稜線の先は雲谷山に繋がっているので 縦走出来そうです。
「風神」


展望の無い山頂を後に、晴れていれば快適な素晴らしい草原の尾根も今はただ黙々と下るだけ。 今の時期:ジックリ草花を探せばイカリソウやマイヅルソウ!!? 等が見つけられたかも!?。「風神」に再度立ち寄り、奇妙なオブジェの「夫婦松」とも別れ、ブナも姿を消すと暗い杉の植林帯の急下降・・林道の分岐が近づいてくると一段と滝音が響いてきます。 登山道の直ぐ側なのに滝の姿を見る人は少ないようです。仏行寺裏手の綺麗な登山口駐車場に戻り着いた(PM12:10)が未だ曇天の空には青い晴れ間を見ることは難しいようです。しかし時間は有りますので「帰りがけの駄賃に、次の山!!」に向います。



V野代・妙薬寺〜瀬波戸ノ滝〜多田ヶ岳〜野代・妙薬寺
 H14.05.05

多田ヶ岳は随分と以前の 3月下旬に定番コースの五波峠か八ヶ峰 (京都府美山町との県境)に登った時、地元福井の人に多田ヶ岳に登ってみたいのだが…と問われ、 この時期のコースの事などを質問されたが此処も初めての山。山麓の多田寺については興味があったが山は良く知らなかった!!。多田寺から林道を詰めれば比較的短時間で登れるのでは…と言ってはみたが、気になって三十三間山からの帰りに一寸寄り道していきます。 海の高野山ともいわれる小浜は若狭国の中心として栄え奈良・京都への鯖街道の基点ともなっていたところ。 嶺南地方の中でも此処 ・小浜の多田ヶ岳北面の山麓には 山名の由来ともなっている多田寺や若狭姫・若狭彦神社を始め多くの寺社が点在していますが信仰の山多田ヶ岳は役行者が開いた若狭修験の山ですが、若狭国分寺が置かれていた由縁もあるのでしょうか。
妙薬寺参道

27号線をJR小浜駅近くまで戻って来ると南川に沿って京都京北町へと南下する162号線に合流しますが 手前の木崎から多田寺に向います。若狭3山(青葉山692m 飯盛山585m)の一つ多田ヶ岳712mの別名:長尾山の存在感を堪能させてもらう事になります。「お寺の鐘は入るときに撞くもの(迎え鐘!!)で、帰るときに撞くのは送り鐘といって、良くない事ですよ 」と寺の奥様!!に言われたのも多田寺へお参りに来た時の事。折角寄った多田寺ですが 東参道から入ってきたのが 間違いだっ様で参詣者の車で駐車スペースもなく、此の先のコースも不案内。思い切って別のコースをとるため27号線に戻り162号線手前で「円照寺」の看板を見て田畑と集落の中を野代の妙楽寺に向います。岩屋山妙楽寺(高野山真言宗)元正帝の養老 3年(719)に僧・行基が24面千手観音像を彫って此の山中の岩窟中に安置した。
登山口の左に瀬波戸の滝が

その後桓武天皇り延暦16年(797)に僧 ・空海が当地を巡錫の時、瑞光山中より現われるのを見て、岩窟中に尊像のあることを感得し、此処に堂宇を建立して堂内に安置したと伝えられる。本尊が岩窟に在ったので山号を岩屋山と号し、寺名を妙楽寺と名付けられた。現在の本堂は鎌倉期と伝えられるが その構造手法からみて平安末期の名残を示すと思われるものがあり純和様式建造物の代表的な建物と云われ、本堂内の厨子、本尊千手観音等共に重要文化財に指定されている。妙楽寺への参道を左に見て(PM12:55)野代川に沿って歩き出します。 仰ぐ空の先はガスに閉ざされ望める筈の多田ヶ岳はその存在さえ隠そうとしています。「多田ヶ岳へ」の標を見て桜木の続く道を進みます。野辺のシャガが心慰めようとしてくれるが、私には好きになれない花です。林道終点の登山口には小さな瀬波戸の滝 (PM1:05)が懸っている。 この先からの山道は 少し藪っぽくて一瞬踏み跡を見失う処も有るが、すぐ確りした杉の植林帯の 山道となり岩混じりの急斜面には ロープも張ってあります。 杉林の中の急登から、今度は急に緩斜面の水平道が延々続きます。周囲が何も見えない森林の道を歩き続ける単純さは、思いもかけず不安になることがあります。
多田ヶ岳山頂・若狭湾の展望皆無

長々と水平動を何故か螺旋状に歩いて入る気がしてきます。 1時間と歩いていないが同じ所を通っている気がしてきて思わず、路肩の枝を折ったり、木切れをクロスに重ねて目印にしたり、道は明確なのにグルグル回りこんでいるようでホワイトアウトの錯覚さえ覚える頃、分岐道が現われ水平道は下っていきます。 反対の道は尾根に急登しています。此処が多田寺からの分岐でした(PM2:15)。雲谷山同様に地図が有れば慌てなくてもすんだのですが、分岐からの急登15分で多田ヶ岳山頂 (2等三角点 712m PM2:35)に到着します。若狭三山の一つ。校歌にも♪朝雲映ゆる多田ヶ嶺に…と歌われるように若狭・小浜市民が朝夕望む山ですが地元の人にとって登山対象からは少しずれているんでしょうか。

明るい山頂もガスの中(^^ゞ ・多田ヶ岳


若狭修験の山ですが妙楽寺からは途中、 納経や行場は見当たらず後日教えて戴いた山頂にあるという役行者石仏も気がつきません。写真を撮った露岩の北側にでも、若狭湾を見下ろしながら祀ってあったのでしょうか!!往時を妙楽寺に戻って(PM3:25)小浜の町を後にします。 大飯町のJR若狭本郷駅には丹波市のJR柏原駅と同じメルヘンチックな駅舎があり目立ちますが、共に大阪花博(花と緑の博覧会)のものを移築されています。ゴールデンウィーク末の停滞は舞鶴〜綾部間で経験済みですので…駅舎の手前50m程で県道1号 (小浜綾部線)を利用して帰ります。綾部「仁王の湯」も繁盛しているようです。帰ってきて今日の雨模様の事を話していたら下界!!?では嘘のようです。私だけが異次元の世界から戻ってきたような錯覚。日焼けの心配の無い一日でした。
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