岡山県の屋根を縦走 ダルガ峰〜駒ノ尾〜後山〜大甑山
岡山東部・兵庫播磨 (五万図=坂根)
後山キャンプ場〜駒ノ尾〜ダルガ峰〜後山〜大甑山 2001年11月24日

駒ノ尾山頂より船木〜鍋ヶ谷山〜後山

近畿の百名山 : 後山(板馬見山)
ふるさと兵庫の50山: 後山(板馬見山)

後山(1345m)は別名に教霊山・板馬見山・道仙寺山の名を持ち、板馬見渓谷周辺の谷や岩場を行場にした修験の山。「西の大峰」とも呼ばれ山岳信仰の聖地として建長年間 (1249〜1255)に僧徹雲法印が道仙寺を開いてから修験道が発展して、多くの山伏が参詣し賑わったところで、奥の院は今も女人禁制を守り続けています。また不動の滝を始め50数箇所の行場を残しています。



5年前(1996.11.10)にも三室山に登った後、千種高原へ向かい鍋ヶ谷から 駒ノ尾〜後山へと往復縦走しているので、今回は岡山県側(東粟倉)の後山キャンプ場を基点にと。志引峠を下って「こぶしの里・後山キャンプ場」を目指します。駐車場の少し手前の沢沿いに標識完備の道が有り此れが一般ルートの様ですが初めての場所ですので判らずに終点の駐車場まで入ります。昨夜からのテント組(3張り程)が居ますが朝食準備もまだの様です。周辺は未だ薄明かりですので案内板を見た後、車に戻って30分程休みながらコースを検討していると周辺の山稜が朝日を受けて輝きだし(AM6:35)出発します。車止からキャンプ場の管理棟を抜けると広場の端に奥の院/船木山への分岐があり階段道が紅葉に彩られて燃えるような樹木の間を抜けて尾根に延びていく急な道だが、それだけに直ぐに視界が拡がり日名倉山が浮かび上がってきます。緩やかに裾野を拡げるなかに日本一大きなベルのあるベルピール自然公園の門が見えます。階段道から小笹を分けてトラバース気味に進みます。右手上方には岩壁を連ねる山肌が 厳しい修験の山の片鱗を見せています。
船木山付近の尾根より那岐山

この岩場の先から稜線に出れば船木山も直ぐだと思われるが山道は岩場の下で急に方向を変えて下り始めキャンプ場へ戻っていくようです。方向が違うので細い踏み後を辿って岩場に向かうが 廻り込んで行けると思った処はルンゼに向かい岩の巣窟…こんなルートを一般ハイカーが通過出来る筈はありません。早々に引き返し何処に行き着くのか分からない先の山道に戻って下り続けます。
急な道も荒れて歩行困難なほどの箇所も有ります。どうやら今は殆ど使われることの無い、急な登り下りの結構険しい遠回りの後山登山コースのようで先のルンゼの下方にある大きなナメ滝の下を捲きながら沢渡りに出ます(AM7:10)。此処で正規の一般道に合流して谷を渡り返しての階段も続くジグザグ道を辿って稜線に出ると(AM7:45)一際目立つ那岐山と袴ヶ仙、滝山等々の丸みのある山が薄い霧の中に頭を並べている様子は、 まるで青海波の紋様を思わせます。
船木山〜後山は後回しにして先ずはダルガ峰への縦走です。後山(岡山県の最高峰)〜船木山〜鍋ヶ谷山〜駒ノ尾へ続く稜線は岡山県の屋根で、中国自然歩道として整備されているコースの中でも登山者の多い一番人気の山域なのでしょう。しかし背の高いスズタケの回廊の中を辿ります。時々この回廊の壁の先に駒ノ尾のなだらかな山容が映ります。道筋には白く霜が降りていて足元の柔らかな土壌には霜柱のりジャリジャリ砕ける音がします。避難小屋手前からは千種高原・ダルガ峰方面へのコースが分かれますが、展望の期待できる駒ノ尾山頂 (1281m AM8:20)に向いますが山頂の石の山名碑は倒され重機が平坦な山頂をより拡げ岡山県側から此処まで 車幅の道がつけられています。展望休憩所を建てる工事だと後で聞きましたが、岡山の自然保護は !!自然林の残る場所は公園に、そうでない殆どの山は観光地として車で山頂に登れるようにするんでしょうか。今でも結構多くの山が山頂や山頂近くまで林道で通じているのに・・・自然破壊か!!自然保護になるのか 慎重に考えて欲しいところです。前回・千種高原への途中にある鍋ヶ谷渓谷沿いの道を駒ノ尾に登りましたが藪と雑木が覆っていた大海里谷への分岐まで岡山県側から車道が登ってきています。 ダルガ峰へ向う途中にも足下にも大茅スキー場方面から舗装スカイラインが駒ノ尾に向って延びているようです。大海里谷と鍋ヶ谷渓谷への分岐(AM8:40)尾根から広い稜線は目立つピークを捲きながら辿り 大茅スキー場への道と分岐 (AM8:52)して急な登りになりますが、登り切ったところからは広大な平坦地が続きます。ダルガ峰(1165m)は船木山から見ても分かるように広大な台地状にブナも混じる植林帯の中に一本の道が延びています。
鍋ヶ谷山から駒ノ尾

ダルカ峰手前の鞍部から大茅スキー場へのルートと別れて斜面を登りますが、登り切った途端に起伏も殆ど無い、このだだっ広い尾根を歩きますので山頂が何処なのか検討も付きません。ただ千種スキー場の分岐から 尾根伝いにも大茅スキー場へ向うコースが有り標識が見えますが、此処に山ランJH3JFFの山名札がかかっていました(AM9:00)。三角点も無く展望も無い処ですので展望の期待できる千種高原スキー場の上部に出ることにします。 何時も満車状態の「ラドンの泉」(千種の名水)の駐車場も未だガランとしています。三室山の写真を撮ろうとしたがバッテリー切れ。残念ながら以降に写真添付はありません(AM9:10)。さて一路引き返し後山迄縦走です。鍋ヶ谷への下降点(AM9:45)、駒ノ尾避難小屋(AM10:00)、鍋ヶ谷山(1253m AM10:22)は何にも無い尾根上の一通過点です。後山キャンプ場への分岐まで戻ってきて2分程で船木山(1334m AM10:40)ピークです。 此処も周囲の雑木で展望は有りませんが露岩の上に立てば日名倉山から後山へは何とか望めます。僅かの下り途中で前回雑木に隠れて分からなかった鍋ヶ谷側への下降点です。前回この道が見出せずダルガ峰へ向う大海里谷と鍋ヶ谷渓谷分岐まで戻っています。後山山頂(3等三角点 1345m 別名:板馬見山・教霊山・道仙寺山 AM11:00)は岡山県の最高峰で、さすがはこの時間多くの登山者が次々訪れて来ます。 平成の大馬鹿門(大甑山)への尾根が分からず、とりあえず下山コースをとって笛石山への尾根続きのルートで不動滝まで下り大甑山へ登り返すつもりです。雲ひとつ無い上天気です。山頂からは三室山や植松山 (明け方に登山口8号線を抜けてきた)、黒尾山、北に氷ノ山や扇ノ山迄見渡せます。富士山らしからぬ笛石山や目を転じれば那岐山、袴ヶ仙や良く知らないが鳥取県側の山も。下山(島谷)コースは笛石山へ向う尾根と別れて(AM11:15)板馬見渓谷に向って下り続けます。対峙する山肌に岩場が見えるのは{灯り岩}でしょう。 名前通り陽があたって白く輝いているようです(AM11:28)。ここから直ぐのところには小さな滝場のある谷渡り(渡渉点)でロープもセットされています。谷は広いが岩のゴロゴロした荒涼として感じになってきます。 行者コースの道標も現われます。このコースは次回の楽しみです。途中に枝沢も無いのに四の沢とか二の沢の名が有ります??。その四の沢の下で「平成之大馬鹿門コース」の道標(AM11:38)を見ます。 この道を辿るのですが日名倉山を諦めると、時間の余裕がありそうなので一度トコトン下部まで行ってみることにします。

岩小屋があり「石小屋権現」の踊っているようなユニークな石仏が祀ってあります(AM11:45)。 上方に岩壁が見えると其処は鐘懸の行者の岩場で舟形石碑の行者像が祀って有ります(天保4年<1833>)。木の階段と梯子が現われると此処が不動の滝(12m )で左右に水を分けて二条に流れており 中央は大きな岩が庇となって不動明王が祀ってあります(AM11:47)。その先は宿坊跡で小屋は避難用として使えるようです。此処は大壁某氏が板葉見山再興の基地として此処でキャンプ生活を続けたとの解説柱が建っています。 その先、垢離取場(之より女人結界)の文字、女人禁制の跡地ですが、今は後山キャンプ場先の奥の院だけが女人禁制を守っているのかな(AM11:55)。この下に二の沢があって駐車場が其処に有ります。 絵入りの案内図には行者コースや大馬鹿門へのルートが描かれています(PM12:00)。
此れからまた同じ道を大馬鹿門コース分岐まで登り返します(PM12:25)。「平成之大馬鹿門」と呼ばれる石門 (5つの石を縦に積み上げた石の塔で、近くの空山にも同じ石の塔が有って二つが組みになって門を形造っています。この門は何処かの大學の門に寄与されたのですが名前にクレームがつけられ騒動になったと !!といわれ撤去になった門ですが千種町は、その意義に感銘して誘致したとのこと)のある大甑山へと延々山裾を捲きながらの行程です。後山を背にして東へ東へ進むので遠のく後山に不安を感じる頃、 ブナ林の明るい尾根を抜けてルートが北へ、西へと稜線を伝うようになると突然、頭上に石の塔が見えます。あっさり平成之大馬鹿門・大甑山(おごしき山 1095m PM12:58)に着きました。最高峰・後山の直ぐ側にありながら 展望抜群の休息地です。一息ついて後山への枝尾根の登りは結構きつく感じるのは朝から歩き続けた疲れともう直ぐフィナーレとの想いからだろうか!!。それとも、この場の静寂と頂上のザワザワした喧騒さが感じさせるのかも …後山山頂の祠の下(PM13:20)に出てきたがそのまま船木山(PM13:38)を目指します。沢渡り(PM14:10)からも沢伝いの道をとらずに往時と同じ、岩場下をトラバースする厳しいルートで後山キャンプ場 (PM14:30)へ戻ってきました。

  丹波霧の里HOME
inserted by FC2 system